天神学園大新年会
だから、と。

クモノスは薄い胸をドンと叩く。

「私が学食で腕を振るうでやんす。寮住まいの生徒も多いでやんすから、私が生徒達の親御さんの代わりに、しっかり食事の面倒見るでやんす」

何せ私は『天神第二のオカン』でげすから。

もう一度クモノス破顔一笑。

「…………」

そんなクモノスの言葉を聞きながら、こはくは思う。

鬼のように生徒達を厳しくシゴく翡翠のような教師がいる一方で、クモノスのような包容力で多くの生徒を支える者がいる。

高成のように辛辣な口調で耳の痛い苦言を呈する教師がいる一方で、お初のように生徒達の愚痴や悩みを聞き、逃げ道になってやる者もいる。

滅茶苦茶なようでいて、天神学園はバランスがとれている。

それぞれが、それぞれの役割というものを果たし、生徒を、仲間を、友人を、真っ直ぐに己の目的へと邁進させている。

この学園に、必要のない者など誰一人としていないのだと。

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