天神学園大新年会
「こはくさぁんっ」

雛菊達の席の鍋を上手い事調理したクモノスが、離れた場所から叫ぶ。

「翡翠の旦那の相手をしてあげてほしいでげす。私が鍋物は一手に引き受けるでやんす」

それは、決して損な役回りを請け負う貧乏くじを引く役という表情ではなく。

『みんなが頼ってくれる、嬉しい!』

そんな活き活きした顔だった。

パタパタ走り回る小柄な少女。

やれ鍋が煮立つまで蓋を開けるなだの、やれ生物は火が通るまで箸を出すなだの、三つ四つの席を掛け持ちで、鍋物の面倒を見ている。

忙しそうでいて、とても楽しそうに、踊っているように、こはくには映った。

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