天神学園大新年会
「わ…わた…私っ…」

カップルクラッシャーと呼ばれる女子生徒が、いざ己の恋路となると脆く愛らしいものだった。

宴の指さえ振り払う事ができず、呼吸を荒げ、染めた頬のまま長い睫毛を伏せるゆり。

腹黒いとはいえ思春期の少女だ。

老獪な宴の策略の前には為す術もなかった。

「悪い事なんて、なぁんもありゃしない…ゆり、アンタは融様に身を委ねちまえばいいのさ…あとは融様が気持ちよぉぉくしてくれるよ…?…夢見心地のまま、アンタは身を任せるだけでいい…」

「あ…あぁあぁぁ…」

ウットリと。

焦点を失くした瞳で、喘ぐような声を上げるゆり。

(頂きだね…)

宴は密かにほくそ笑む。

< 129 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop