天神学園大新年会

丹下家の里帰り

天神学園大新年会が終わり、雛菊は久し振りに実家へと戻ってくる。

天神学生寮より電車で1時間、徒歩15分ほどの場所にある、ちょっと大きめの純和風家屋。

玄関には『丹下』の表札。

「ただいまぁ」

雛菊が元気よく引き戸を開けると。

「あら雛ちゃん、おかえりなさい」

優しげな女性が彼女を出迎えた。

丹下 静江(たんげ しずえ)。

丹下三兄弟の母である。

「どう?転校先の学校には馴染んでる?」

「うん、みんな楽しい人ばっかりだし、あ、私ねぇ、彼氏できたんだよぉ?」

ニコニコ笑う雛菊に、静江はニコニコ笑顔を返す。

「あら、いいわねぇ若いって。今度ウチにも連れていらっしゃいな。お母さん好みの可愛い子だといいわぁ」

「だっ、駄目だよお母さん!私の彼氏なんだからっ!」

「いいじゃない、抱っこくらいさせて?」

「駄目っ!」

…どうやら雛菊は、この母親に似たらしい。

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