Alien執筆言い訳日記(ブログ的な何か)
3月18日 アラン・チューリング
佐伯陸がらみでアラン・チューリングを出したくて書いてたら、ふと気づくとアラン・チューリングの伝記映画を、あの! あのシャーロックのベネディクト・カンバーバッチが! アラン・チューリング役で主役でゲイの天才数学者をやるって…みごとに時期がかぶってるし。3月13日の劇場公開までにアラン・チューリングの名前をここに出してやると誓って具合悪いのにあのシーン(熊のアラン・チューリングⅡ世のエピソード)必死こいて書いてたのでした。バカの死ぬの?
悔しいけどでもこれは見に行かないと。というわけで『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』ええ、見に行きましたよ16日。カンバーバッチさすがの演技力だった。見応えあった。最後も泣けた。ネタバレになるからあんまり感想書かないでおきます。アカデミー賞7部門ノミネートで、脚色賞受賞という快挙だった。
シーンにはないが、アラン・チューリングは41歳で自殺する。その時に青酸入のリンゴを食べて死んだとされている。かじりかけのリンゴが床に落ちていたという。その話を『僕止め』ネタを調べていて、あっと気づいた。なんだ、マッキントッシュのリンゴのロゴマークってここから来てるんじゃないのか?
しかし考案者は「それっぽいけど違うよ」と言っているらしい。違ってても、期せずしてコンピュータの父の死因があの大会社のロゴマークになってるっていうのは示唆的で面白いではないか? 考えてみればジョブズと言う人がチューリング風な人物であることは間違いない。そのジョブズももう死んでしまった。チューリングは人生の哀切の中から死後の魂の輪廻を信じ、ジョブスはインドと仏教に傾倒して、禅に救いを求めた。ニュートン的な均質宇宙は毒入りで、一口かじったら死ぬよ、的なメッセージすらそのリンゴに秘められているような気さえする。
ちなみに私も愛読書だったが、ジョブスもパラマハンサ・ヨガナンダ著「あるヨギの自叙伝」は愛読書で、自分のiPad2にダウンロードした唯一の本と言われている。アラン・チューリングはこのように語る。『身体は魂を引きつけ、つかまえるが、死によって身体がそのメカニズムを失うと、魂は飛び去り、すぐに別の身体を見つけるのだろう』。数学者も経営者も自由さがその思考の範囲を広げることになるという証左でもある。