Alien執筆言い訳日記(ブログ的な何か)
10月6日 久々の詩情は劣情の遺跡
『解凍』
閉ざされた門扉の向こうの
無遠慮な苛立ちの音に叩かれた日から
心を開くことをやめた17の逢魔が時からずっと
気の遠くなるような永い間あなたを恨んでいた
あの指と唇を僕から奪ったあなた自身は
僕を幸せにするために離れるとか言ってた気がする
その偽善が理解できなかった
その窓辺で黒い帽子のつばに隠れた顔は
僕がいなけりゃ笑うこともなかったろう
そんなことあるわけないのにそうとしか思えないのに
憂いを帯びた切れ長の目は
結局僕すら見てなかった
十二由旬先の兜率の天の規約を覚え始め
僕が悪魔であると認定されたと語るあなたに
激しく抱かれていたのはもう最期に近い夜だったね
あの時の快楽と愛撫の記憶が刻まれたこの身体で
一体どこに行けっていうんだ?
何十年も経ったこの日に君と一緒に歌った古い歌を聴いて
心を閉じた日から一切思い出すことのなかった窓辺のあなたが
何の予告もなく僕の脳裏に浮かんで胸を震わせる
黒い帽子のつばから見え隠れするさらさらとした髪の感触まで
僕の指に優しく蘇ったから
まだ愛していることすら悔しくて
二度と見たくないと押し潰してきた思い出が
微かな音律と共に
もう許してたってことを
柔らかく知らせてくる