Idol×Idol


『─パサッ』
目の前に出されたのは数十枚だけの資料。


「これだけ…ですか?」
「そうだよ。今回はわたくしなりにもまとめて見ましてね」
「は、はあ…」
「で、これは人気アイドルグループSuger*の公式HPにまとめておいて欲しい資料だ。と、言うか公式ホームページを作るのが君だ」
「シュ、シュガー!?」
「お、知ってるのかい?」
「いや…あの…この会社の仕事とは大幅ズレているような気が…」
「確かに全くこの会社には関係ない仕事だよ。だけどこの間のプレゼンで君の資料が評判になってね、業界の間では噂が広まっちゃって。君の腕はなんの仕事でも活躍出来るそうだよ」
「と、言うことは…」
「これからは社長や社員にも内緒で秘密のお仕事をやってもらおうと思う」
「えぇぇえぇええっ!?」
びっくりして叫んだらみんなに驚いた目で見られた。


「こら佐藤くん。静かに。まあ小遣い稼ぎみたいなものさ。こっそり頼むよ。君の仕事がもっと大きくなるかもと期待されているからな」
「ま、一応やっておきますね。部長の指令には従います」
「じゃ、今、裸になってくれるかい?」
「え……」
「冗談冗談。おやじジョークってもんよ」
「おやじジョークなんて初めて聞きましたよ…」
「ま、頼んだぞ。佐藤くん」
そう言って部長は上機嫌で自分のデスクに戻った。


「…また仕事増えちゃったよ…ただでさえ残業仕事ってのに…」
ぶつぶつ言いながら割と早く終わりそうなSuger*の方に手をつけた。


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