Idol×Idol


『─プルルルル…』
「こんな時に誰…」
画面を見ると“柚木先輩”の文字。きっとお昼をどこで食べるかの電話だろう。


「もしもs…─」
『もしもーしっ!ねえねえ、今さっきSuger*の公式サイトが立ったんだよーっ!』
予想外。


「あ、はい…」
『…え?』
「え?」
『いや、見てちょんまげっ☆って事よ!』
「あ、あ…立てたの…私なんですけど…」
『え?そうなのっ?本当はSuger*好きだったの?もしかしてSuger*のスタッフとかやってるの?』
柚木先輩から一気に質問される。


「あ、いやいやいや…だからその…─」
おもわず口が滑ってしまった私はしょうがなく柚木先輩に全部を話す。


『いいじゃん!見込みアリアリアリーナッ☆って事でしょ?』
「何ですか…アリアリアリーナって…」
『そんなしらけないしらけない♪』
「てかテンション高いですね。なんかあったんですか?」
『あーそうだよ!なんかあったよ!超嬉しくてさ!心臓と腎臓がマッチング☆しそうなんだよ〜!』
「心臓と腎臓は簡単にマッチングしないですよ」
『まあまあまあ〜♪ま、ランチの時に話すよ〜』
「は、はぁ…」
『じゃ、8階に迎えにきて〜』
「なんで私が迎えに行かなきゃ…」
『心臓と腎臓がマッチンg…─』
「はい。迎えに行きます。あとそのネタ全くおもしろくないです」
『今日の愛美、なんかグイグイくるなあ〜』
「………切ります」
『…─ブチッ…ツー…ツー…』


柚木先輩とはいつもこんな感じ。
先輩はG線は方向が180度違う。だからちょっと訳の分からない面白くないことを言う。

“きりんの子供はぞぉさんだぞぉ〜!シュッシュッ!”と言った時は本気で警察呼ぼうとした。勿論、アルコールは多少入ってる時だが。

柚木先輩がモテない理由No.1はぶっちぎりでこれだと思う。あとは男みたいな感じ。色気のなさ。


「…あ…行かなきゃ」
パソコンを閉じて8階に向かう。


「あ、愛美さん!こないだのプレゼン助かりました!」
「お〜翔大。全然全然。ありがとね。じゃ、ランチ行ってくるね」
「あ、はい!お疲れさまです」


後輩の沖翔大(おき しょうた)。まあ特に説明はしない。急いでるし。とりあえず新入りだけどエリート。これからどんどん伸びるタイプ。


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