Idol×Idol


『…──プー─8階です』
8階につくと柚木先輩の居る特別室へ向かう。


『…──ウィーン』
特別室は自動ドア色。先輩は凄い人なんだなと唯一感じる。


「柚木先輩?ランチ行きますよ」
「あ〜愛美!待ってたよよ〜」
「って…先輩お昼食べてるじゃないですか」
「食べる?」
「食べる?じゃなくて…ランチ行くって言ったじゃないですか」
「世の中嘘もついて生きていくものよ〜。ほらっ、大トロあるよ」
「は、はぁ…では頂きます」


「んで、話ってのが〜」
「はい」
大トロではなくサーモンを食べながら答える。


「Suger*のCD発売イベントの最前列ゲッチュしちゃった!」
「はい………………えぇえっ?!」
そのとき、初音遊の名前が頭に浮かんだ。


「んで〜行くでしょ?」
「んな、強引な…」
「嫌ならいいけど」
「あっ…いや…行ってあげても…いいですよ?」
「よし決定。とりあえず12月24日だから」
「え、イヴじゃないですか」
「愛美、彼氏なんていないからいいじゃないか」
「まあ…そうですけど」
「リア充爆発しろーっ!私はいつも願うよ」
「はいはい」
そう言いいつものように柚木先輩はずっと独り言を続ける。


「じゃ、私時間の有効活用しないと行けないんでここらへんで。お寿司ありがとうございました」
「えぇ〜もう行っちゃうの〜柚木ちゃん寂しいでござる」
「ござるって何ですかござるって」
「残業仕事か何か?」
「あ…まあ…そうですけど…」
「じゃあこの優しい先輩が手伝ってあげるよ!パパーン」
「でも、社長だって参加するプレゼンの資料ですよ?偉大すぎるんで柚木先輩には任せられませんよ」
「そうか…私は成績が悪い…か…」
柚木先輩はため息をついて下を向く。


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