レンアイゲーム


「七瀬~、今日一緒帰れる?」


放課後。
里奈があたしに聞いてくる。


「ごめんっ!あたし今日委員会行かなきゃならないんだわ」

「あ~そっか、分かった。頑張ってね!」

「ありがと、ばいばい!」

「ばい~」


あたしは教室を出ていく里奈を見送ると、委員会のある教室へと移動した。



HR委員会。
クラスのHR長が出席する、面倒くさい委員会。

あたしは、柄じゃないけどクラスのHR長。


もう体育祭のシーズンで、今日はその話し合いだとか。


委員会が行われる教室の後ろに鞄を置いて、適当な席に座る。



「めんどくさー…」

はぁ、と溜め息をつく、面倒くさがりなあたし。


HR長だって、本当はやりたくなかったのに。


“高1のときもHR長をやっていて、みんなをまとめられるから”と里奈に推薦され、クラスの大半の人が賛成したせいで、やりたくもない仕事をやるハメになった。

高1のとき、ノリでHR長を引き受けたのがいけなかった。


「そんな溜め息ついてると、幸せ逃げちゃうよ?」

隣から不意に、聞き覚えのある声が聞こえた。

反射的に声の主を見る。



「久しぶりだね。な、な、せ、ちゃん」


「……森刹那」



あたしの隣の席には、ニコニコ微笑んだ王子様。



…何でこいつがここにいる?



てか。

「ちゃん付けキモい!」


「じゃあ、七瀬?」


「……やめろ」


呼び捨てとか有り得ない!

「ったく、かわいくねぇ~な、飯島」


周りに人が居るからか、森刹那は小声で、裏の性格を出す。



てか、余計なお世話だし!
かわいくないのは承知してるし!







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