レンアイゲーム
………んっ?
“先輩には俺がいるのに”?
「どういう意味……」
「どういう意味って……そのまんまだよ。先輩は、俺っていう存在がありながら、何で他の男と帰ってんの?」
……ちょっと待て。
何彼氏面してんだ。
「あたし、君のこと好きなわけじゃないんだけど」
銀縁メガネ君を正面から睨み付ける。
「…何言ってんの、七瀬」
いや、こっちのセリフだからね、それ。
しかも何勝手に呼び捨てしてんだ。
「七瀬、ちゃんと俺があげたキーホルダーしてくれてるじゃん。おそろいだよ」
そう言って、自分のキーホルダーを見せてくる。
だってさ、女の子だと思ったんだもん。
………あたしの不注意かもしんないけどさ。
「ねぇ、七瀬知ってる?」
銀縁メガネ君が、あたしにゆっくりと近付いてくる。
それを見て、あたしは後ろに下がって距離をとる。
「!」
背中が壁にぶつかった。
あたしと銀縁メガネ君の距離は、短くなるばかりで。