レンアイゲーム
「……いないですよ、俺も」
ここで彼女の存在を認めたら、大変なことになる。
学校中が大騒ぎだ。
んで、修羅場だ。
「そう……。じゃあさ、うち……、森君の彼女になりたいな」
顔を赤らめて言う先輩。
ほら来た。
俺の外側に騙されちゃって。
あ~あ、でも、これ以上彼女増やすと隠すの大変だな。
今は、飯島をオトすのに専念してーしなぁ。
とりあえず、アウト。
「すいません、先輩。俺、今は誰とも付き合う気無いんですよ」
「……そっか。わかった」
案外あっさり身を引いた。
こーゆうタイプ、嫌いではねーな。
面倒くさくないし。
ドンッ!
「……わっ!」
突然、鈍い音と先輩の声が廊下に響いた。
バサバサバサッと、先輩が抱えていた資料が落ちる。
傍には、しりもちをついている男子生徒。
廊下の曲がり角で衝突した。
しりもちをついたそいつは、銀縁メガネをかけて、影の薄そうな印象をうけた。
言っちゃ悪いけど。
オタクっぽい。
「ごっ、ごめんなさい!大丈夫?」
慌てて先輩が男子生徒に駆け寄った。
「―――……」
男子生徒は何も言わずに立ち上がり、そのまま俺の前を通りすぎる。
男子生徒がスクバにつけている、ハートが半分に割れたキーホルダーが揺れていた。
どっかで見覚えある。
どこで見たんだっけ、あのキーホルダー。
思い出せねぇ。