雲の上の景色
夜の街
「何?でも無理な事は言うなよ!」
精一杯のタメ口。
「今日、夜病院ぬけだそ!」
はぁ?つい大きな声で叫んでしまった。
でも時すでに遅し。いっせいに注目を浴びてしまった。
「ねね、お願い~~♪」
こいつ、こーゆー時だけ可愛い顔しやがって。
「ねね、いいでしょ?ねぇねぇ健斗~」
「駄目だ。しかもぬけだすなんて不可能だ。」
一気に真理亜の顔が鬼の形相になった。
「ケチケチケチ!ケチケチ!健斗のケチーーーー!」
真理亜は泣き崩れ、周りの人からは冷たい目で見られ、もう穴があったら入りたいくらいだ。むしろ埋まってしまいたい。
まだ真理亜は大泣き、号泣。
俺はこの空気に耐えられず、つい
「わかったよ!わかったから泣きやめ!行ってやるから。」
と言ってしまった。
一気に真理亜の涙は嘘だったかのようにピタリと止んだ。
俺は「嘘泣きかよ・・。」と心の中でつぶやいた。