雲の上の景色

スタスタスタ。

拓哉が帰ってから又、ややはや歩きで真理亜が俺の元へ駆け寄ってきた。


「ねね、うち好きな人できた!」


「はぁ!?」


「一目惚れしちゃったみたい照」

真理亜はギャハハハハと笑っている。
俺のこの気持ちも知らずに。

「てか誰に?」

この時すでに俺は勘づいていたけど意を決して聞いてみた。
『健斗に』と言う言葉をひそかに期待をいだきながら待った。

だが、返ってきた言葉は


「たっくん!」

「はぁ!?拓哉 あの拓哉?まぢかよ!」

「う…ん。だってかっこい~し!」

拓哉の事を話す真理亜は完全なる乙女だった

「それだけの理由で?」

「うん!だからさ、健斗、たっくんと幼なじみなんでしょ?色々教えてちょ♪」


この時俺の真理亜への想いは恋だってことを気づいていた。


拓哉か……。俺じゃ駄目…。

こう思うと涙が今に溢れ出てきてしまいそうで怖かった。



< 34 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop