雲の上の景色
スタスタスタ。
拓哉が帰ってから又、ややはや歩きで真理亜が俺の元へ駆け寄ってきた。
「ねね、うち好きな人できた!」
「はぁ!?」
「一目惚れしちゃったみたい照」
真理亜はギャハハハハと笑っている。
俺のこの気持ちも知らずに。
「てか誰に?」
この時すでに俺は勘づいていたけど意を決して聞いてみた。
『健斗に』と言う言葉をひそかに期待をいだきながら待った。
だが、返ってきた言葉は
「たっくん!」
「はぁ!?拓哉 あの拓哉?まぢかよ!」
「う…ん。だってかっこい~し!」
拓哉の事を話す真理亜は完全なる乙女だった
「それだけの理由で?」
「うん!だからさ、健斗、たっくんと幼なじみなんでしょ?色々教えてちょ♪」
この時俺の真理亜への想いは恋だってことを気づいていた。
拓哉か……。俺じゃ駄目…。
こう思うと涙が今に溢れ出てきてしまいそうで怖かった。