3年分のキス






病院の廊下を早足で逃げるようにヒールの音を立てながら歩いた

涙が止まらなかった
歯をぐっとくいしばって止めようとしても止まらなかった

今日でもう会えないと思うと
頭がおかしくなりそうだった

それを決めたのは自分なのに



「…きゃっ」



前を見ずに歩いていたから誰かにぶつかってしまった



「心結さん?」



顔を上げるとたかおちゃんのお母さんの顔があった





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