3年分のキス










あれからどれくらいたっただろうか

季節は冬を越えて春。
薄手のシャツじゃまだ少し肌寒いぐらい。


わたしは幸せな生活を送っていた

夫もいて、お金にも困らなくて
お屋敷みたいな家に住んで…何も不自由はなかった


蓮もわたしを一途に愛してくれて
欲しいものはなんでも与えてくれた



ただ、ひとつ

わたしがたまにあの人のことを想ってしまうことだけが
唯一の欠点だった


でも、桜の舞うこの季節になると思い出してしまう
あの日別れた時のことを






< 214 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop