3年分のキス
…
あれからどれくらいたっただろうか
季節は冬を越えて春。
薄手のシャツじゃまだ少し肌寒いぐらい。
わたしは幸せな生活を送っていた
夫もいて、お金にも困らなくて
お屋敷みたいな家に住んで…何も不自由はなかった
蓮もわたしを一途に愛してくれて
欲しいものはなんでも与えてくれた
ただ、ひとつ
わたしがたまにあの人のことを想ってしまうことだけが
唯一の欠点だった
でも、桜の舞うこの季節になると思い出してしまう
あの日別れた時のことを