3年分のキス





「お、お風呂入ってくるね」



心配そうな目をしている蓮をよそに
わたしはお風呂場へと駆け込んだ

涙は止まることを知らなかった


忘れかけていたたかおちゃんの声が
忘れかけていたたかおちゃんの笑顔が

今ここにあるかのように思い浮かぶ



「…っ」



着の身着のまま、浴槽に入って
シャワーの蛇口を捻る

水の音がして、容赦なくわたしの体に降り注ぐ


わたしはシャワーの音に包まれて
声を枯らして泣き続けたのだった





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