3年分のキス




その夜
蓮が隣で寝たあとで自分の部屋に向かった

目を閉じれば彼の顔が頭に浮かんでどうにも寝れそうになかったからだ


カーテンを開けると、夜空にぽっかりと満月が浮かんでいた
月夜を浴びながら彼のことを考えた

今、どこで何をしているんだろうか


彼女がいたっておかしくない
誰かと結婚してることは、報道も何もないからないのだろうけど

新しい彼女と、一緒にいるたかおちゃんを想像すると
胸がぎゅっと締め付けられる心持がした


わたしを連れて行ってくれた菜の花畑にも
新しい彼女と行っているのだろうか



「…お願いだから」



あの場所だけには。
あの場所だけにはいかないで。

欲張りだってことぐらいよくわかってる、でも。





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