3年分のキス
「親……」
たかおちゃんの、親。
ってことは、お母さん来てるのかな。
彼が入院してるときいろいろお世話になったなぁ。
勇気もらったり、胸を貸してもらったり。
できることなら、また会いたい。
「…下の名前、なんていうんだっけ」
わたしがぼーっと何かを考えている時間があまりにも長いからなのか
彼は"どうしたの"、そう言ってくれているような眼差しでわたしを見つめる。
「…心結」
あえて、上の名前は言わなかった。
彼もわかっていると思うし、わたしも彼の前ではいいたくなかった。