3年分のキス
「もう、一人暮らしし始めたの…」
声が震えて最後まで言えなかった。
気が付いたら涙が溢れていた。
なにもかも制限された世界を思い出すと辛くなったのと
なにもかも制限された世界を抜け出せると思うと嬉しくて
いつの間にか、涙が止まらなくなっていた
「あ…泣かないでよ」
困ったような顔をした西崎さん
わたしの顔から目を背けて背中を向けている
抱きつきたくなるような大きな背中
「ごめ…んなさい…」
そう言われても涙が止まらなくて
淡いピンク色で涙を少し拭った