真夜中・十二時的彼氏。~ミッドナイトナカレシ。~
圭子は、震えながら心をぎゅっと抱きしめ、そっとつぶやいた。

その時、どこからかカシャリと、何か機械的な音がしたが、その音には、今の心に気付く余裕は無かった。



騒ぎも一段落して、皆が教室内に入ってからも、心は、机に顔を伏せたまま泣きじゃくっていた。
それは、担任の岡本忠雄先生の国語の授業が始まってからも続いていた為、たまりかねた先生が、そっと生徒全員に話しかけた。

「…みんなで、ええと、マルミ、だっけ?お墓を作って供養してやろうな。

そして雪村、少し保健室で休んでなさい。
…誰か、雪村を保健室まで連れて行ってくれないか。」

「私…行きます。」

声を上げたのは、圭子だった。

「藤山か。まあ、仲良しだからな。じゃあ、そうしてくれ。」



保健室のベッドで横にされた心は、ひどく心が打ちひしがれてしまっていた。

「マルミ…」

すっかり放心状態の心を見かねて、圭子はポケットから、何かを取り出して、心の手に握らせた。
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