真夜中・十二時的彼氏。~ミッドナイトナカレシ。~
「心?どうし…」

「うっ、裏切り者よ、裏切り…う、うっ、うう…」

心の目からは、止めどもなく、悲しみの涙がこぼれ落ちた。

-最愛の友を、裏切り者と呼ばなければいけない、そんなみじめな事があっていいのか-

「ここ…ろ?」

「今日、確証を得たのよ…あの子がきっと、『姿無き恋の野獣』、もしくは、共犯者…」

「あの子?」

「…圭子。」



「…?どうしたの、『真夜中の十二時』?」

「そ、それって、君の親友じゃあ…」

「もう…無いわ。」

「…いや、なかなか、それはそれは…

ただ、君の今の話を聞いて、参考になった事が一つあったよ。

ありがとう!じゃあ!」

突然、『真夜中の十二時』との会話が途切れた為、心はぽかんとしたまま、しばらくその場で固まっていた。



「…もう、大丈夫なの、心?母さん、心配よ…」

「…ずっと休んでばかりなんて、いられないから…」

玄関で靴を履き、出かけようとする後ろから、ぎゅっと母親が抱きしめてきた。

「…たまにでいいから、こうさせてね、心。」

「…うん。」
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