真夜中・十二時的彼氏。~ミッドナイトナカレシ。~
九時間遅れの真夜中の十二時
放課後、心は独りで自転車置き場に向かった。

「独りで登校、独りで下校…か。」

さらっと言ってのけた心だったが、切ない気持ちで一杯だった。

いつも一緒にいた圭子が、そこにはいない。

「圭子より先に、教室出て来ちゃった。

…何で、何でよ圭子!親友だと思っていたのに!」

昨日、散々泣いて、もう干からびているかと思った涙が、心の両目から止めどもなくあふれ出てくる。

こぼれ落ちる涙をふく事もせず、がむしゃらに自転車のペダルをこぎ続ける。
そうでもしないと、あの、楽しかった日々を思い出してしまう。

登下校はもちろん、どこへ行くのだって一緒。圭子がからまない日なんて、三六五日、一度も無かった!

-胸が、苦しいよ、圭子!-



…校門をでて一直線の道を突っ走り、もうすぐ曲がり角が近づき始めた頃、初めて心はある異変に気が付いた。

-ブレーキが…効かない!
このまま真っ直ぐ突っ込めば、確かそこは…-

「交差点に突っ込んじゃう!曲がりきれない、このスピードじゃあ…


誰か、助けて!」
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