真夜中・十二時的彼氏。~ミッドナイトナカレシ。~
たった一つ、不幸中の幸いとしては、塚田の両親自体が、不正を嫌う人らしいから、証拠品突きつけられて言い逃れはしないと思う。

…まあ、人だから、今までの自分達が築き上げてきた功績、そして息子の為に…ってなれば解らないけれど…」

「…こっ、こんなの証拠にしたら、圭子が、もっと傷つく…

うっ、ぐすっ…やだよそんなの…

受け取りたくない…」

心は、ボロボロと大粒の涙を流し、圭子からビデオカメラを受け取るのを拒んだ。

それを聞いた圭子は、勇平の机の上にビデオカメラをそっと置き、寂しそうに笑いながら言った。

「…大丈夫。もう傷つく事は無いから。

…私、逝くね。」

「!」

一瞬の出来事だった。圭子は、泣きわめく由子の右手を取ったかと思うと、血塗れのナイフをその手に握らせ、その手をぐいっと勢い良く自分の胸に引き寄せた。

「ギ、ギャーッ!」

由子は叫んだ。

「…お前…は…殺さない…だけれど、…ゴホッ!…一生かけて…せ…背負ってもらう…


…自殺幇助の…十字架を…」

「圭子っ!」
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