すれ違い
どれぐらいそこに立っていただろう



「雪葉‥‥‥」



振り返ると麻美が立っていた



その悲しそうな顔を見て、麻実が全て見ていたことに気づく



「恥ずかしいところ見られちゃったね」



心配掛けないように無理して笑ってみたけれど



「ごめんね‥‥‥あたしがあんなこと言わなかったら‥‥」



麻美には通じなかったみたい



ううん、麻実は悪くないよ



あたしが全部悪いだけなんだから



悲劇の少女振りしたいわけじゃなく、心からそう思う



そう伝えたいのに涙が溢れ



「‥‥‥‥‥っ」



あたしの口から漏れたのは、言葉にならないうめきだけだった
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