すれ違い
何もいわない拓人に業を煮やしたあたし



「ね、まずいでしょっ失敗作って言ったじゃん」



だけどあたしの言葉なんて聞いてないかのように



ガサガサ‥‥ぱくっ



もぐもぐもぐ



もう一つ食べ始めた



「や、やめなって‥‥体に悪いよ」



あたしがそう言うと



「なんで?見かけはちょっとあれだけど味は美味しいよ」



といってにっこり笑ってきた



砂糖と塩間違えたんだから味がいいわけないのに‥‥‥



だけどあたしはその日から



拓人の優しさと笑顔の虜になってしまったんだ──‥‥
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