すれ違い
熱のせいで会いに来られなかった



理由がわかったのになぜか気分は晴れない



「‥‥言ってほしかったな‥‥」



思わずポツリと呟いた



だけど、そうなんだもん



一緒にいられるだけでよかったのに



教えてくれていたら、あたし看病に飛んでいったよ



華先輩になんか任せなかった



それとも、それを見越して教えてくれなかったのかな



「何か言った?」



あたしの声が小さすぎたのか拓人は気か返してきた



「ううん、なんでもない。それより、熱もう大丈夫なの?」



「あ─、昨日一日中ベッドで休んだから大分まし」



「そっか、よかった」



よかった。これで華先輩が拓人の所に行く理由がなくなった



なんて考えてるあたしはやっぱり利己的なのかな
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