すれ違い
あまりに泣きすぎて顔がグシャグシャになってしまったので、シャワーを浴びることにした



「ふぅ‥‥」



体を洗い流したことで、すこし心がすっきりし



─今はまだ無理だけど、きっと時間と共に思い出にできるはず─



と、前向きな気持ちなれた



そして部屋のドアを開けて唖然



「‥‥‥‥‥‥‥‥」



固まってしまった



「シャワー遅すぎじゃね?」



「こ、ここで何してんの‥‥‥拓人」



そう、そこには、さっき涙ながらに別れを告げた拓人の姿があった



「何って、ケーキ食ってんだけど?」



しれっとして言う



しかもケーキって‥‥‥



あたしは拓人の周りに目をやりまたまた唖然としてしまう



拓人の周りには、昨日あたしが失敗したガトーショコラの数々が山積みに置かれている
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