雨と傘と
次の日の朝、玄関を出ると春にいが立っていた。

もうそれだけで、とびきりの笑顔になっちゃう。そんな私を見て、春にいも輝く笑顔をくれる。

「おはよ。」

「おはよう、春にい。これ…ありがとう。」

もごもご言ってマフラーを差しだせば、彼はさっとそれを取ってまたぐるぐると私の首に巻き付けた。

「幸葉にあげる。」

にこっと笑ってそう言うから。

「いいの?嬉しいっ!ありがとう。」

もう心臓が悲鳴をあげた。彼ははしゃぐ私を愛おしそうに見つめると、頭をぽんぽんして、手を取って歩き出した。

「今日から、毎日一緒に行こうな。たまにクラス委員の仕事があって行けないけど。でも、帰りも一緒に帰ろうな。」

春にいの言葉に、力強く頷く。


好きな人の隣を歩くってこんなにも嬉しくて楽しいんだ。自然と零れる笑顔を抑えることができない。少し身体を寄せて、春にいにくっついて幸せを噛みしめた。
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