雨と傘と
部屋の窓から外の二人が見える。

幸葉の首に巻かれたのは、兄貴のマフラーだ。自分のものって示すように首輪をするように…意外と独占欲強いな。兄貴と同じ立場なら、きっと俺も同じようなことするような気がする。やっぱ似てるな…苦笑いをしながら、二人を見る。歩き出したのを確認すると、俺は一人外へ出てゆっくりと歩き出した。



幸葉は、きっと幸せそうに笑っているだろう。
彼女を笑顔にするのが、俺でないことが悔しい。

二人のために身を引いたけど、好きという気持ちを押し込めることは難しい。溢れる想い、矛盾と葛藤。心が、壊れそうだ。




これから俺は耐えなければならない。
この想いが、消えるまで。



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