雨と傘と

幸葉①

初めて着た制服はなんだかお姉さんになったみたいで嬉しかった。

ランドセルではなく、通学かばん。
スニーカーではなく、ローファー。

膝丈のプリーツスカートがひらひらと揺れる。姿見に映る自分の姿を見てドキドキした。真っ直ぐな黒髪に手櫛を通す。

「おはよ。」

朔ちゃんだ!
急いで玄関の扉を開くと、学生服姿の朔ちゃんが目に飛び込んだ。
思わず息を飲む。

「おはよ…
朔ちゃん、制服似合ってる。」

「幸葉も。かわいいよ。」

穏やかに笑ってそう言ってくれた。
私たちは、お互いに少し照れながら学校へ向かって歩き出した。

ちらと隣を盗み見る。
朔ちゃんは、学生服がとても様になっていた。
小学生にしては背が高かったから、他の同級生の男子と比べると大人っぽかった彼は、ランドセルの方が似合ってなかったくらいだ。

隣を歩く幼馴染に少しキュンとした。

真っ直ぐ伸びた背筋、まだ少し華奢な手足。
真っ黒で固い髪は短い。

「どうかした?」

微笑む顔は穏やかで優しい。
真っ黒な瞳は綺麗。

「なんでもないよ。」

そう言って微笑み返して、目の前の校門に目線を戻した。

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