雨と傘と
小峰が顔を歪めて…

私のほっぺたを思いっきり引っ張った。

「ばか。岬のばか。誰も!誰も悪くなんてないっ!!」

「いひゃい。」

「そうやって自分を責めても、幸せになんてなれない。」

泣きながら怒る小峰の言葉が、心に刺さった。

「そうだ…ね。どれだけ後悔したって、悔やんだって、誰も幸せになれないよね。」

「うん、みんな岬の笑顔が好きなんだよ。私も含めて。」

そう泣き笑う小峰に、笑って応える。涙で目が腫れて、大分ぶさいくな顔になってると思うけど、精一杯笑った。

泣いて泣いて、笑って。こうやって一緒にいてくれる親友に心から感謝して。
何も解決はしていないけど、話すことで楽になった。小峰に許されることで、自分自身を少し許せるような気がする。






二人を好きという気持ちを真正面から受け止める覚悟を決めたんだ。


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