雨と傘と

今日は朝から生徒集会があって、体育館に全校生徒が集まった。

「岬、教室戻ろ。」

同じクラスの小峰愛が声を掛けてくれる。

「うわ…廊下ヤバい。」

小峰の声に顔を上げると、確かにやばい。

体育館から続く廊下に、先輩たちがたくさん溜まってらっしゃる。さすがにちょっとキツイかも。一年生はびくびくしながら通って行く。

「ちょっと、いやかなり通りにくいね。」

意を決して二人でこそこそ歩き出した。
俯いて足元ばかりを見て歩く。


「幸葉。」



はっきりとした声が私の名前を呼んだ。