雨と傘と
小峰の言葉が心の中心を貫いた。


女として。男として。


春にいは、私を見てる?



今まで、私は春にいのことをお兄ちゃんとして見てきた。本気で妹になりたいとさえ思ってきた。だから、春にいも私を妹として見てるんだと思ってたんだ。

けど、それは違ったのかもしれない。

私が春にいを男として見ていなかったから、分からなかったんだ。春にいの気持ちにを。


さっき私は初めて春にいを男の人として意識した。

そして気付いたの。

春にいのことを好きってことに。



女として、目覚めたの。

春にいの瞳に灯る恋心に気付くくらいに。



「小峰…私、春にいのこと、好きみたい。」

そう呟けば、彼女はさっきの真剣な表情を崩し、心底呆れたと言いたげな顔になって

「いまさら、何言ってんの?」

私を思い切りバカにした。
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