契約恋愛~思い出に溺れて~

私が黙っていると、英治くんが反対に私に問いかけてきた。


「紗彩ちゃんはさ、達雄が本気になったらどうするつもり?」


その言葉に、私は驚いて顔をあげた。

そんなことはあり得ない。


「達雄は、私に本気になんかならないわよ」

「なんでそう思うの? 
だって妹はプロポーズされたんだろ? 
いくら達雄だって、妹が結婚すりゃいい加減諦めるだろ。
その時、一番傍にいるのはアンタじゃんか」

「それは……」


そうだけど。

だけど絶対達雄は変わらないんじゃないかと思っていた。
逆に言えば、だからこそ、彼だった。

私と同じで、変わらない気持ちに苦しんでる。

そう思ったから、彼とこういう関係になったんだ。

でも……。

昨日の達雄の言葉を思い出す。
そう思いこんでいるのは、私だけかもしれない。


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