契約恋愛~思い出に溺れて~
「死んだ旦那さんを、今も愛してんだな」
「え……」
さっきまであんなに責め立てていたくせに。
なんでそんな急に優しいこと言うの。
ずるくない?
ずるいでしょう。
そんな風に言われたら、これ以上の虚勢なんか張れない。
カラリと、グラスの中の氷が音を立てる。
それをきっかけに、私の瞳から大粒の涙がこぼれた。
「……う」
嫌だもう。
こんなとこで、泣きたくなんかないのに。
「いい人だったんだな」
「えっ……」
英治くんの言葉が優しいから、涙がどんどん止まらなくなる。