契約恋愛~思い出に溺れて~
私は息を吸って、咄嗟に考えたもっともらしい言葉を口にする。
「あの、えっと。な、なんで番号知ってるの?」
『えー? ああ。さっき達雄の携帯からかけた時に赤外線通信でうつしといた』
「勝手に?」
『いいじゃん。俺たちだって友達だろ?
紗彩ちゃんも登録しといてね、この番号』
「ハイハイ」
軽い口調に、思わず笑みがこぼれる。
時刻はもう0時半を回ってる。
飲んでたのに、眠たくないのかしら。
『気をつけて帰れよ』
「うん。ありがとう」
優しい言葉は、お酒より染みいるのかも。
なんとなく温かくなって、私の口調も段々柔らかくなっていく。