契約恋愛~思い出に溺れて~
「おばあちゃん、いってきまーす」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます、母さん」
母に見送られて、慌ただしく家を出る。
忙しい一日の始まりだ。
手をつないで、昨日の保育園での話を聞く。
紗優は忘れてしまうこともしばしばで、そんな時は、話を聞ける時間に帰れなかった自分が悔しくなる。
保育園へ着くと、自分から大人しく園内に入って行く紗優。
「帰りは祖母が迎えに来ますから」
もはや恒例となった連絡事項を保育士の先生に告げ、頭を下げる。
教室へ向かおうとする紗優が一度こちらを見るので、軽く手を振って園を出て、慌ただしく駅へと向かう。
もう2年ほど続けている変わりない毎日。