契約恋愛~思い出に溺れて~
どうしよう。
紗優の顔が見れない。
今だおさまらない違和感。
明らかに達雄に感じているのとは違う感情。
携帯電話の着信メモリーから、一番新しい番号を出し、名前を登録する。
【葉山英治】
打ちこんだ名前に、どこか胸が苦しくなる。
『紗彩ちゃん』
呼ばれた名前に、ドキリと跳ねた心臓。
小さな小さな私の変化。
「……どうしよう」
嫌だ。
ユウ。
行かないで。
私の心、ずっと縛っていて。