契約恋愛~思い出に溺れて~
娘の記憶
仕事が休みの土曜日、
私は朝から仏壇の掃除をした。
ここのところ忙しかったから、
部屋も掃除機をかけるだけで棚を拭いたりしていなかった。
気がつけば埃がたまっていて、ユウの遺影が少し曇っていた。
「ごめんね、ユウ」
そう呟きながら、写真を一拭きする。
日に焼けた顔。
意志の強そうな瞳。
写真の中のユウは、
あの日から年をとらない。
いつの間にか自分の方が年上になって、
ユウのその姿を『若いな』と思うようになる事が不思議であり切なくもある。