契約恋愛~思い出に溺れて~


陽がさして、英治くんと紗優の影が私の方へと伸びてくる。

逆光で顔がよく見えない。

その二人の姿は、まるでユウと紗優の姿に見えた。



……ユウ。

あなたが死ななかったら、
今もこんな風だったの?

その、空に近い場所で、
紗優はいつも笑ってられたの?



「……うっ」


紗優の前で泣きたくなんかない。

なのに、涙がこみ上げてくる。


「あ、ママ!どうしたの」


頭より高いところから、紗優の声がする。
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