契約恋愛~思い出に溺れて~
「いえ、橘さんや他の人の手助けがあったからこそです。色々ありがとうございます」
「そうだよなぁ。助けてやったって俺の方が給料安いんだしなぁ」
針のムシロとはこのことだろうか。
中途半端な嫌みが面倒くさい。
気に入らないなら気に入らないで、構わないでくれればいいのに。
「すみません」
何に対して謝ってるのかなんて、自分でも分からないけど。
わざわざ飲み会の日に険悪なムードを作る必要もない。
「横山ちゃんも、そろそろ再婚すれば?」
「え?」
「結婚しても辞めなかったとき、俺はアンタのことすごく見直したけどさ。
でも、女が一人で踏ん張ってんのって結構見ててイタイ。
もっと楽させてくれる男を探したらどうだよ」
この話はしたくなかった。