契約恋愛~思い出に溺れて~
その後、英治くんは私たちを家の前まで送ってくれた。
「おじちゃん、バイバイ」
「うん。紗優ちゃん。ママの事大事にしなよ」
「うん。ママだいすきだもん」
すっかり打ち解けた紗優と英治くんは、私とよりも仲がいいかもしれない。
「……今日はありがとう」
「いいえ。余計なおせっかいでした」
「なによ、それ」
「今度は紗彩ちゃんから誘ってね」
「え?」
ドキリとして、無意識に身を引いてしまう。
彼は気にした素振りもなく、紗優に手を振ってそのまま車を走らせた。
取り残されたような私の心音だけが、体内に響く。