契約恋愛~思い出に溺れて~
「パパ、喜ぶよ」
それしか、言えなかった。
でも、紗優がとてもうれしそうに笑ってくれた。
ユウ。
紗優、あなたが昔肩車をしたこと、思い出したって。
一杯一杯色んなものを見せたいって、
どこかに行ったら必ず肩車してた。
良かったね。
私は、嬉しいよ?
……ユウは、喜んでくれる?
冬の夕暮れは早くて、私と紗優の顔は夕日に照らされて赤くなる。
泣きたるほど綺麗な夕焼けは、
どうしようもなく優しく私の心を軋ませた。