契約恋愛~思い出に溺れて~
「あ、あのね」
『うん?』
「どうして、紗優にそんなに構ってくれるの?」
昼間、答えの聞けなかった質問だ。
でも本当は、知りたいのはそれだけじゃない。
【英治くんは、どうして私に構ってくれるの?】
その言葉は、声には出せない。
『……どういう意味?』
「だから。あの。他人の子なのに。嬉しいけど、……なんか、申し訳ないというか」
『紗彩ちゃんの子だからねぇ』
その言葉に心臓が高鳴る。
駄目だってば、期待したら。
この人は、好きじゃない人にも優しくできる人なんだから。
熱くなる頬を押さえて、私は平静を取り繕う。