契約恋愛～思い出に溺れて～

「あの……」

『俺の両親の離婚の原因ってさ、育児ノイローゼなんだよね』

「え？」

『要は、原因は俺ってことだろ。聞いた時、なんかショックだったんだよね』

「それは、そうよね」


突然語られた英治くんの過去に驚きつつ、その内容を考えてみた。


育児ノイローゼ。

子供を持つ私には、分からないでもない。
子供を育てるのって、嬉しい半面すごく大変で。

紗優はまだ聞きわけのよい子だし、実の親にも助けられてるから、私はなんとかなってるけど、
核家庭で、旦那さんがそれほど協力的じゃなかったらと思うと、ノイローゼになるのも分かるような気もする。


『結局は、捨てられた。……そんな想いがずっと消えなかった』

「……うん」

『女ってそんなもんなんかなって、思っててさ。昔っからあんまり女の子に夢を持ってないんだよね』

「でも、もてるでしょ？　英治くん」

『ああいうのをもてるって言わないよ。代わりにされてるだけだ。
俺も、彼氏と別れたばかりの子にばかり声をかけるから悪いんだろうけどさ。

弱い時に優しくされると……やっぱ弱いもん？』