契約恋愛~思い出に溺れて~

電話を切った後も、耳に残る余韻。
心臓の振動に、感じるのは罪悪感。

ユウのこと、少しも思い出さなかった。

英治くんの話に夢中になって。


暖房を消して、紗優の寝ている部屋に戻る。
幸せそうな寝顔が、愛おしくて切なくて。


「浮気でもしてるような気分」


ポツリと呟いて悲しくなる。

紗優の布団に体をすべらせて、その体温を感じながら、私は眠れない夜を持て余した。


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