契約恋愛~思い出に溺れて~
どんどん思い出していく。
初めての告白の時は、体が震えるほど緊張してたっけ。
その頃にはなんとなくお互いの気持ちには気付いていた。
多分待っていれば、ユウが告白してくれたのだろうと思う。
だけど、私はその時、それまでの自分を変えたかったから、
自分からしようって決めてた。
一日中ずっと緊張してて、待ちあわせのバーで彼の顔を見た時には変な汗が出てきた。
『私は、ユウが好きです』
必死で絞り出した声は震えてたし、顔の周りも熱くて訳が分からなくなりそうだった。
ユウの口から返事が紡がれるまでの間がものすごく長く感じて、逃げ出したいと思ったほど。
『俺も好きだよ』
その答えと共に、彼がそのまま近づいて私を抱きしめた。
軽いヤジと、それを諌めるようなピアノの音。
女性オーナーの麻子さんが、お祝いにと追加で一曲演奏までしてくれた。