契約恋愛~思い出に溺れて~

どんどん思い出していく。

初めての告白の時は、体が震えるほど緊張してたっけ。

その頃にはなんとなくお互いの気持ちには気付いていた。

多分待っていれば、ユウが告白してくれたのだろうと思う。

だけど、私はその時、それまでの自分を変えたかったから、
自分からしようって決めてた。

一日中ずっと緊張してて、待ちあわせのバーで彼の顔を見た時には変な汗が出てきた。


『私は、ユウが好きです』


必死で絞り出した声は震えてたし、顔の周りも熱くて訳が分からなくなりそうだった。

ユウの口から返事が紡がれるまでの間がものすごく長く感じて、逃げ出したいと思ったほど。


『俺も好きだよ』


その答えと共に、彼がそのまま近づいて私を抱きしめた。

軽いヤジと、それを諌めるようなピアノの音。

女性オーナーの麻子さんが、お祝いにと追加で一曲演奏までしてくれた。

< 24 / 544 >

この作品をシェア

pagetop