契約恋愛~思い出に溺れて~
「そんな風に言わないで。そんな関係でもないし、……英治くんはいい人よ」
「どうかね。紗優に何吹き込んでるんだかわかったもんじゃないよ」
「おばあちゃん!!」
私がその言葉に反応するより先に、紗優が大きな声を出した。
顔を真っ赤にして、握りこぶしを固く握っている。
「おじちゃんのこと、悪く言わないで!」
「な、……ほら、紗彩。紗優は前はこんな風に言い返すような子供じゃなかっただろ?」
母が驚いたような表情で紗優を見つめる。
私は椅子から降りて、紗優を抱きしめた。
「紗優。どうしたの」
「だって、おじちゃん。やさしいもん!」
「紗優」
「おじちゃん、わかってくれたもん。サユのきもち。おばあちゃん、おじちゃんのことわるくいうのやめて!」