契約恋愛~思い出に溺れて~

ブルースバーで


心が決まれば体はすぐ動く。

確か細い路地の奥まったところにあったはずだ。
記憶を頼りに繁華街の方へと歩く。

最後に行ったのはいつだっけ。
ユウが死んでからはあんまり来てない。

渚の恋愛相談を受けた時に数回来たかな。
それももう1年は前のような気がする。

でも、この道筋は覚えてる。

いつもユウが先だって歩いた。
時には手を引いてくれることもあった。

小さな看板を差してこう言ったこともある。

『ほら、この店の名前、読める?』

< 26 / 544 >

この作品をシェア

pagetop