契約恋愛~思い出に溺れて~
ブルースバーで
心が決まれば体はすぐ動く。
確か細い路地の奥まったところにあったはずだ。
記憶を頼りに繁華街の方へと歩く。
最後に行ったのはいつだっけ。
ユウが死んでからはあんまり来てない。
渚の恋愛相談を受けた時に数回来たかな。
それももう1年は前のような気がする。
でも、この道筋は覚えてる。
いつもユウが先だって歩いた。
時には手を引いてくれることもあった。
小さな看板を差してこう言ったこともある。
『ほら、この店の名前、読める?』